「桜が咲くまで 葉が茂るまで 月が美しくなるまで」
沈んだ太陽 ひとつふたつ 燈す明かり
走って去って行った何かに取り残されたよう ここに二人
いつもと同じ風景をじっと見つめる あなたの澄んだ瞳
そんな風に 瞳に焼き付けるように 必死にならないで
祈るように私は思う
もう少し まだ逝かないで
そっと触れたあなたの手は冷たくて
私をじわじわと不安にする
どうして一番の願いがうまく叶わないのだろう
強靭な力に強制的に流されていく命
もう少し まだ逝かないで
いつもそう
まるでお年寄りみたいに
物分りのいい事を言ったりしないで
いっそ泣いて暴れて私に八つ当たりしてくれたらいいのに
いつも誰かのために生きているのね
あなたのために行動してと言ったら あなたは死を選ぶのかしら
でも
もう少し まだ逝かないで
肌が触れていると安心しますか
眠れないなら側にいましょう
悲しい時は抱きしめてあげましょう
いつか別れが来るとしても
せめて桜が咲くまで 若葉が茂るまで 月が美しくなるまで
もう少し まだ逝かないで
(2002年)