土方歳三
イラスト:香野由布さまよりいただきました
出た!男前!(どうかと思うこの書き出し)
日本史の男前は安倍晴明・源義経・森蘭丸等色々おりますが、やはり写真が残っているというのは強い。よって文句のつけようもなく、男前代表はぶっちぎりで土方さんに決まりであります。
私が新選組にドカンとはまったのは「燃えよ剣」を読んでからであると、以前どこかで書きました。土方さんのことは、燃えよ剣以前にも「風光る」であるとか「新選組血風録」とかで存在は知っていたのですが、なんか…怖いっていうか、底が知れないというか、そんな気がしていて苦手でした。
でも土方さんが主人公の燃えよ剣は、もう目から鱗がボロボロ落ちる思いで、こんなに素敵な人を見逃していたなんて一生の不覚!そうキラキラして上巻を読み終えたのが高2の春だったと思います。そして、その足で修学旅行に向かいました。
もう、これは今思い出すのも口惜しいのですが、行き先が函館だったんですよね…。
帰ってきて下巻を読み終えた時の私の感想は「ええええ!!!うそ!ハコダテ?!!しかも五稜郭?!」でした。
だってこの間行ったばかりの場所で、しかも私はそこで「いえーい扇!(組体操の技)」とかって言って馬鹿みたいに記念撮影をしていたんですよ。このときほど自分を呪ったことはありません…。よりによって私は土方さんが亡くなった地でなんてことを。バカバカバカ!
でも今思えば、この体験で、私は彼ら新選組が歴史上の人物であること、ほんの150年前に実際に生きて、そして死んでいった人間であることを強く意識したのだと思います。あそこで、亡くなったんだと。
当たり前なことだけど、そんなことが実は私はちゃんとわかっていませんでした。そしてこれが新選組にはまるきっかけだったのだと思います。
いやぁ…しかし、土方さん、かっこいいですよねぇ。「燃えよ剣」に限らず、「歳三、往きてまた」では女顔負けに色っぽいし、「輪違屋糸里」では女を利用するズルイ男なのに眩暈がするほど魅力的だし、どの小説でも土方さんはあまりにかっこいいのでドキドキしてしまいます。自他共に認める男前。これだ。かなりモテたということはラブレターの束を実家に送りつけたという史実からもはっきりしていることですし、若い時から奉公先のむすめっこを孕ませたり、まぁ色々と忙しいのです。これではちょっとばかり「おれってかっこいー」と思っていても仕方ない…だってかっこいいんだもん。
だけど顔だけじゃあ、死後150年後も女たちの心を鷲づかみにしないわけで。
組織の影の司令塔である切れ者というのもまたズキューンなのです。江戸の小さい道場から出てきた集団が、京都で大きな勢力としてのし上がった。たぶん土方さんがいなければ、新選組は後世にここまで残らなかったと思います。
恐ろしく頭の良い人だったと思うのです。
江戸から出てきた農民出身の男が、京の都で大きな力を持つ集団警察を作り上げたのですから。もし、この現代にいたら、すごい成功者になっていたんじゃないかと思います。裏世界のドンとか(うそうそうそ。ビル・ゲイツとか)
なのに、何故だろうと、やっぱり思います。何故彼は幕府を見捨てなかったのか…。江戸幕府が沈み往く船であるということは、分かりきっていたことだったのに。すべて放り出して、浮き輪に縋って新しい岸までたどり着くことは、この人には容易だったのではないかと思うのです。
ぶっちゃけ、意地、だったんだと思います。意地って言ったら聞こえ悪いかな。プライド。この人は、歩む道の過程で、沢山亡くしてしまいました。親友であったり仲間であったり好敵手であったり、色んなものを。だからこそ、舞台から降りられなかったのだと思うのです。沈むなら沈めと、投げやりじゃなく、そうあっけらかんとしていたのではないかなと、思います。
死を近くした土方さんは、優しかったと言います。人との関わりがとても儚いものであること、あっという間にすり抜けていってしまうものであることを、知ったせいだったのかもしれないと、勝手に思ったりしています。
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